「虹色のエリクシル」 7月20日

シャヘルは、エイミーを
優しく抱きしめると
静かに突き放す。

そして流れるように
語りかけた。

「可愛い人よ去れ。
 我が力を
 エルバザエルに
 奪われて以来。
 貴女の様な優しい心が
 世界の底辺で潰される
 光景を眺めていたが、
 それが許されるというコトも
 後、暫くの話だろう」

「闇に従い、天上に
 詰め寄る邪竜を僕は倒す。
 長い一週間になるだろう。
 これ以上、
 神と神々を守護する旅に
 付き合わせるつもりは無い。
 風の流れる限り
 長く続くアナタの夢に祝福を。
 その指輪が幸せを導くから、
 もう僕と関わる必要も無い。
 それに、永遠と時の
 宝石箱に在る
 優しく煌めく貴女の姿と
 それが刻まれている金貨は
 旅の途中で目を瞑れば
 何時でも眺める事ができるから」

少女には、
シャヘルが話す
言葉の意味が解らなかった。

「シャヘルさん、それって…」

黒い陰のような男は
少女に向って
一枚の金貨を渡す。

エイミーは
鈍く輝く金貨を見つめ、
哀しそうに戸惑い呟く。

「これ、金貨ですよね。
 でもコレは貴方の物ですから
 渡されても困りますよ、
 私は自分の力で…」

シャヘルは手を振ると
悲しそうに笑って言う。

「貴女の優しさと哀しみを
 僕は好きになった。
 それも十分、自分の力だよ。
 だから僕は…。
 魔法の指輪も渡した、
 必要な金貨も渡した。
 貴女が僕に望む用は
 全て終わっただろう?」

「早く、フランクに
 金貨を渡して 
 君は自由になればいい。
 そして自分で望む通りに
 世界を眺めて楽しむがいい。
 とにかく此処で、
 さよならだ」



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by 護睡庵(春山信玄)  at 12:37 |  連載 |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑
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