小説 春山対信長 7月10日

春山はテントに
探偵局のメンバーを集めて
作戦会議をすることにした。

「みなさん聞いてください!
これから信長を倒すのですが
適当に作戦を決めたので
各自、よく聞いてください」

それを聞いたエイコの眼が
輝いているのが
何だか恐ろしかった。

「えーと、禅ダムは
加減ができなくて
危ないから。
僕と一緒に後方支援。
各人に適した宝貝の供給が
今回の役割です」

安室くんは静かに頷く。

「張さん、この時代に
知り合いの仙人とか
いないですか?」

「うむ、いきなり言われても
三大王は何処に
居るかワカランしなぁ。
阿君なら、仙人になって
ここらに居るが」

「じゃあ、できるだけ早く
ここに連れて来てください」

張角は白い髭を
捻りながら言った。

「ほいほい」

春山は、ツカツカと
姉の方に移動して
作戦を伝える。

「今回の作戦ではエイコと
フランソワーズちゃんに
派手に暴れてもらいます
直接、信長の城に
乗り込み、正面から
信長を倒してください」

春山の姉は
ガッツポーズをして
喜びのあまり踊り狂った。

ガスッ

足元に倒れていた信虎を
踊りながら弾き飛ばすと

テントのポールに
ゾンビになった
信虎が当り
テントの屋根が
バサッと崩れた。

頭の上に被さった
薄くて臭い
簡易テントの屋根を
勢いに任せて弾き飛ばすと

信虎の頭を鷲攫みにして
エイコは叫んだ

「待っていろ第六天魔王!
これからは、私の時代だ。
これが、下克上なのだよ…」


フランソワも
その光景を見て
満更ではなさそうな顔で
微笑んでいる。

そのとき、そっと
サンジェルマン小林が
春山さんにコソコソ耳打ちをする。

「すみません、女性だけって
どう考えても、そんな作戦。
ムリがあるじゃないですかぁ、
考え直してください春山さん」

ゆっくりと頷いてから
春山信玄は答えた。

「それじゃあ、止めて帰るから
今すぐ装置を直してよ」

小林君は膝から崩れ落ちると
また、さめざめと泣いてしまった。

何だか、少しだけ
可愛そうな気がしたので
春山は弁解をしてあげることにした。

「信虎と信綱が
お供するから女性だけじゃないよ。
それに戦力が別に在るみたい。
フランソワーズ、
ポシェットの中身出して」

フランソワは舌を出して
お茶目に笑うと、
バレちゃいましタと
可愛く言いながら、
ポシェットを開いた。

その瞬間、
渾沌の響きが
地の底から聴こえた。

天も地も知らぬ
悪夢のような
魔力の存在を感じた
小林君は
泣く芝居を止め、
眉間に皺を寄せると
防御結界を創る呪文を
詠唱した。

「春山さん、危険です。
警戒してください」

張角も椅子から
跳ね起きると
杖を構え、気を練って
仙闘体制になる。

「うむぅ、渾沌の気の
使い手か?」

ポシェットの中から
紅い闇が

静かに

叫び声を上げ
這い出ると、
その瘴気は
徐々に人の形になった。

「サンジェールマン、
サーンジェルマン。
お忘れか、無理も無い」

髭面の男を見た瞬間に
小林の白い顔が青ざめる。

「そんな莫迦なことが…
貴様、何故生きている、
焼かれたのでは」

男がビロードの
浅黒いマントを
ひるがえすと、
その長く強い髪に
隠れた歯が不気味に
輝いた。

「焼かれた方の
私はレプリカだ。
そこの、美しい方に
助けて頂いた。
以来、愛と忠誠を
誓うことにした。
以前の無礼は
水に流してくれたまえ
サンジェルマン君、
ムハハッ」

その光景にも、
一区切りついたかなと
想ったので
春山は欠伸をしながら
男に訊ねる。

「あなたの、お名前は?」

男は腹の底に
響き渡るような声で
囁き答えた。

「グリゴリ、
イェフィモビチ・ラスプーチン」



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by 護睡庵(春山信玄)  at 17:12 |  春山対信長 |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑
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