春山外伝「幻術士の敗北」

これは春山信玄が、
まだ若い頃の話。

三流幻術士の春山は
御堂の方角に向かい
静かに歩きながら
呪文を謳うと
ヴァルキリーの女王を
召喚した。
「もう僕は我慢がならない。
だから話を聞いて、
納得出来ぬようなら…」

(無理なコトだけど、付き合うわ)

幻影の女神は優しく頷いた。

聖天御堂に入ると
春山は静かに
語り始める。
「訪ねたいことがあります。
 近頃…
 学問の無理解によって、
 破滅する人間が多い。
 素直な人ほど、
 言葉の魔力に巻き込まれ
 奈落の底に堕とされる。
 現代の学問が
 闇にしか見えないのは
 何故ですか?」

御堂の扉が
音も無く閉まる。

「歓心な問い、
清濁陰陽を分ける事
穢れの始まり、
人は穢れを避け、
その故に穢れる。
知る故に言葉無く、
知らぬ故に語る。
知らぬ故に心在り、
知る故に心無し。
穢れ無き者に心無し、
汝自身を知れ」

その答えを聞いて
春山は困ったような
顔で笑い敗北を認める。

「参りました」


御堂から出て
最寄の駅まで続く
長い道を歩いて往く。

溝の流れる音と
虫の美しく鳴く中で
荒れた畑に芒が揺れて

秋の風が空しく過ぎ去る
季節に月を眺めて呟いた。

「遥か幻影、夢の夢。
風の吹く中、堂々巡り
知恵は在るのか
無いモノなのか
莫迦な僕には分らにゃい」

テーマ: 自作小説 -  ジャンル: 小説・文学
by 護睡庵(春山信玄)  at 23:34 |  短編小説 |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑
Comments
Comment Form
管理者にだけ表示を許可する

理想のお爺さん
FC2カウンター
最新の記事
カテゴリー
プロフィール

護睡庵(春山信玄)

Author:護睡庵(春山信玄)
魔法仙人協会
(定員1名)
最高無責任者
護睡庵不動駘蕩春山
別名 春山信玄☆

ちょっくら大変な世の中を
空想のファンタジックな
感覚でとらえてみて
普段のなんでもないような
生活を新鮮な気持ちで
どの程度楽しめるのかな
というブログです☆

現実にいる人物とは
一切、関係ありません。
フィクションブログです☆

職業 主夫 件 アルバイト
 
哲学者もどき


現在のテーマ
「時間の経過を楽しむ」

趣味 絵、音、読書、散歩、
食事、睡眠、お茶、その他

健康生活指針
楽観空想現実主義☆

月別アーカイブ
縦書き小説
興味があったらどうぞ☆
にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ にほんブログ村 小説ブログへ にほんブログ村 小説ブログ SF小説へ FC2ブログランキング
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

押すと何か喋るよ☆

リンク
ブログ内検索
御用の方はどうぞ☆

妖怪仙人のページ
abanataku.jpg
RSSフィード
おすすめ☆

By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ