2008/06/30
「魔法少女マカンダルちゃん」6月30日 2
麗しのフランソワ嬢は
古き時代のロシア、
ネヴァ河近くの
座標地点に現れた。
「ぅ…、ユスポーフ。
おの、れぇ」
河に何か変なモノが
浮いてブツブツと
喋っていた。
「ドウシマシタ?」
フランソワが優しく
事情を訊ねると
男は聞き取り難い声で
嘆願した。
「とに、か…
ヒキアゲ テ」
低い手摺に座って
水に浮かぶ男を、
そっと眺めていた
フランソワの眼が輝く
とんっ
彼女が地面に
着地する。
風の吹き荒ぶ音も無い
ロシアの冷たく静かな夜に
その鈴の様な声は響き渡った。
「アナタは誰?」
男は大気の奏でた
楽の音に答える。
「グリゴゥ、ラスプ…」
フランソワは
確信を持って頷くと
友人の部屋から
黙って借りてきた
謎の宝貝を持って
緩やかに
舞い踊りながら
不思議な歌を唱えた。
「ティ・ボンディエ
ティ・ギニン…。
其の大地に住まい
万障全てを
即白す白して
自身に従えロアよ」
ロアと呼ばれるモノが
河に浮かぶ男を
素早く乱暴に
フランソワの前へ
叩き落とした。
「うわ、あなた。
大変な怪我じゃないっ
このままでは、いけない。
治してあげるわ」
フランソワはポシェットから
4種類の薬品を取り出すと
瀕死の男に優しく塗った。
「組織の破損が激しい、
真太極図で
何とかなるかしら。
使い方、分らないけれど
増幅装置か何かよ
きっと…」
真太極図を
男の胸に置き、
大地の精霊に
治癒を命ずる
「其の大地に与えて
万障全てを
即白す白して
組成せよ」
赤い光を発すると
太極図は瀕死の男に
吸収されて消えてしまった。
「あれっ、ウソ、
消えちゃった。
困ったことになったわ、
春山サンに何て言えば…」
風も凍えているかのように
静かな深夜
フランソワは意味も無く
哀しそうに微笑み
この目の前に横たわる
怪我人の生命力に
微かに期待していた。
時間を持て余して
何もすることがなくなった
彼女が、
暫く夜の河を眺め
路の氷を
踏みつけて遊んでいると
髭面の男が
感謝の念を表して
フランソワに語りかけた。
「名乗ることが
出来ずに申し訳なかった。
我が名は
グリゴリ・ラスプーチン。
危うかった所を
不思議な力で
助けて頂いたようだ。
文字通り絶望の淵に
叩き落されていたのだ。
本当に嬉しかった。
何か恩返しをしたいが
生憎権力も金も力も
全て、欺瞞という
存在に奪われ、
強大な栄光を
受けた我が力も
ほら、このように
微弱に…」
ラスプーチンが
空に向けて腕を振ると
風を斬る轟音と共に
空の雲が裂けた。
「まさか…」
男は暫く、
空を仰いで呆然と
立ち尽くしていた。
フランソワは
その後ろから
ロシアの大地に
揺れ落ちる
雪のように
可憐に近づき
髭面の男の
水に濡れた髪を
優しく撫でながら囁いた。
「もしも、
願いが叶うなら
この時を越えて
私のモノに
なりませんか?
ラスプーチン様」
とんっ
フランソワは、
やさしくそっと
油断した男の
肩を押すと
スチール缶に詰めた
オレンジ色の
ゾンビパウダーを
男が振り向いた瞬間
撒き散らし
微笑むのだった。
完
古き時代のロシア、
ネヴァ河近くの
座標地点に現れた。
「ぅ…、ユスポーフ。
おの、れぇ」
河に何か変なモノが
浮いてブツブツと
喋っていた。
「ドウシマシタ?」
フランソワが優しく
事情を訊ねると
男は聞き取り難い声で
嘆願した。
「とに、か…
ヒキアゲ テ」
低い手摺に座って
水に浮かぶ男を、
そっと眺めていた
フランソワの眼が輝く
とんっ
彼女が地面に
着地する。
風の吹き荒ぶ音も無い
ロシアの冷たく静かな夜に
その鈴の様な声は響き渡った。
「アナタは誰?」
男は大気の奏でた
楽の音に答える。
「グリゴゥ、ラスプ…」
フランソワは
確信を持って頷くと
友人の部屋から
黙って借りてきた
謎の宝貝を持って
緩やかに
舞い踊りながら
不思議な歌を唱えた。
「ティ・ボンディエ
ティ・ギニン…。
其の大地に住まい
万障全てを
即白す白して
自身に従えロアよ」
ロアと呼ばれるモノが
河に浮かぶ男を
素早く乱暴に
フランソワの前へ
叩き落とした。
「うわ、あなた。
大変な怪我じゃないっ
このままでは、いけない。
治してあげるわ」
フランソワはポシェットから
4種類の薬品を取り出すと
瀕死の男に優しく塗った。
「組織の破損が激しい、
真太極図で
何とかなるかしら。
使い方、分らないけれど
増幅装置か何かよ
きっと…」
真太極図を
男の胸に置き、
大地の精霊に
治癒を命ずる
「其の大地に与えて
万障全てを
即白す白して
組成せよ」
赤い光を発すると
太極図は瀕死の男に
吸収されて消えてしまった。
「あれっ、ウソ、
消えちゃった。
困ったことになったわ、
春山サンに何て言えば…」
風も凍えているかのように
静かな深夜
フランソワは意味も無く
哀しそうに微笑み
この目の前に横たわる
怪我人の生命力に
微かに期待していた。
時間を持て余して
何もすることがなくなった
彼女が、
暫く夜の河を眺め
路の氷を
踏みつけて遊んでいると
髭面の男が
感謝の念を表して
フランソワに語りかけた。
「名乗ることが
出来ずに申し訳なかった。
我が名は
グリゴリ・ラスプーチン。
危うかった所を
不思議な力で
助けて頂いたようだ。
文字通り絶望の淵に
叩き落されていたのだ。
本当に嬉しかった。
何か恩返しをしたいが
生憎権力も金も力も
全て、欺瞞という
存在に奪われ、
強大な栄光を
受けた我が力も
ほら、このように
微弱に…」
ラスプーチンが
空に向けて腕を振ると
風を斬る轟音と共に
空の雲が裂けた。
「まさか…」
男は暫く、
空を仰いで呆然と
立ち尽くしていた。
フランソワは
その後ろから
ロシアの大地に
揺れ落ちる
雪のように
可憐に近づき
髭面の男の
水に濡れた髪を
優しく撫でながら囁いた。
「もしも、
願いが叶うなら
この時を越えて
私のモノに
なりませんか?
ラスプーチン様」
とんっ
フランソワは、
やさしくそっと
油断した男の
肩を押すと
スチール缶に詰めた
オレンジ色の
ゾンビパウダーを
男が振り向いた瞬間
撒き散らし
微笑むのだった。
完




