春山対信長 6月25日更新

張角が何やら妙な本を
読んでいた。

見たことない
本ですねと
春山が
そっと話しかけると

張さんは節くれだった指で
白い髭をなでながら言った。

「ワディ・エル・ホル文字を
知っておるか?」

「何だったかなぁ?」
(ヒエログリフ勢力支配脱出用に
試作されたスペルの一種じゃないの?
よく分らないけど)

「古代エジプトと
関係あるのかなぁ?
張さんっ、そんなコトは
ドウでもいいから。
作戦というか、今後のアレを
信綱もゾンビにされてたし
きっと戦国時代だから
常識の感覚が鈍ったのか
道徳重んじる気がないの。
もう、僕は怖くてしょうがない
だから、張さんっ
同じ仙人同士の仲なので
僕を守ってください」

張角は、うひひ面白いと
言いながら微笑むと

痩せた右肩に左手を置いて
首をコキコキ鳴らしてから
肩がこったなぁと言った。

「うむ、仙人同士と
いうことで毎晩千回
肩を揉むと誓えるならば
お主を守ってやろう」

春山は目を輝かせると
その条件を喜んで
承諾することにした。

「長く肩を揉むのは
慣れているのだっ!
うちのボスは肩揉み
2時間を要求する、
千回なんてなぁ
朝飯前田のスラッガーだ!」


「野球で長打力のある
打者がスラッガーじゃな?
前田さんは凄いのぅ」


「あーたり、前田はスラッガー」


「じゃ、二千回まで延長戦じゃ」

その胸に突き刺さる
雷光鞭のような
張角の言葉に
ショックを受けて
吹き飛んだ春山信玄は
思わず苦虫が
噛み潰された
瞬間のような顔になった。

「何てこった、ちくしょぅ
言わなきゃよかった…
分りましたやりますとも
ゾンビやだもんね
やればいいんでしょ肩もみ
肩もみか、ゾンビだったら
普通の神経だったら
肩もみを選ぶと想うよ僕は」

張角は、にやりと笑い
諦めてグッタリと寝転がった
春山を見る。

春山信玄は子供の頃から
諦めが早いので
親が諦めが早いことを
治すのを諦めるくらいなのだ。

その諦めの速さは
ついに光速を
超えてしまったらしい
その諦めの速き事、
風の如く宇宙の彼方に
飛んでゆけなのである。


春山信玄、現在の
キャッチフレーズは、
寝てみる夢が一番だよね、
他は二番かな…。
まあ、そうは言っても
その他も素敵だから
タダなら欲しいという
感覚のモノらしい。

そして、無い脳味噌で
色々と無駄に考える。

僕、ゾンビには
なったコトがないので
詳しくは解らないなぁ。

ゾンビになったら
落ち着いて
夢を観ている場合では
ないというコトだけは
確かだよねぇ。

眠れないと白昼夢しか
見られないから
安眠のためだけに
他人の肩ぐらいは
喜んで揉むかぁ。


「うむ、いい心がけじゃ
仙人は本読み散歩以外
特にやることが無いから
千年以上、生きとると
老眼も進んで、どうも
肩がこりやすくなる。
肩は自分で揉めない
背中が、かゆい時も
まごのテを使うじゃろ?」

春山は、
テントのビニールが
臭いと思いながら
ころころころりんと
右や左に転がって
今後の身の振り方を
さらに考えていた。


時空航行装置は壊れたし、
ゾンビになる危険が
すぐ其処にあって、

この状況下で
できることを
探したけれど、
ななな無い無い。

めんどくさいから
もう帰って本でも読みたい、
実はバーべキューを
食べたかっただけなのに
信虎に食べられた。
すぐ帰る予定だったのに
信綱が暴れて、
計算が狂った。
アナタ話が違いますっ。
あんまりです。
私が何か、いけないこと
しましたか…。
今すぐ田舎に、
帰らさせていただきますっ。

ダダッダー ダダッダー
ゼーーーット!

という欲求を
満たす手段が
無くなったので

後に残された選択肢は、
えーと何だろ。

僕が今やりたいコトは
もう信長打倒くらいしか
無いや…、

困ったことに結局、

めんどくさいけど、
しょうがないかという

消極的な結論に、
なってしまうのである。

テーマ: 自作連載小説 -  ジャンル: 小説・文学
by 護睡庵(春山信玄)  at 15:27 |  春山対信長 |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑
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