春山対信長 7月19日

春山信玄は
強いゾンビを
消されて無言で怒る
かわいいフランソワの
様子を遠くから眺めていた。

ゾンビマスターが、
大きな栗の木の下で
眼を血走らせながら
凄い色の粉を
ざらざらさらさらと
ジュースの缶に詰めている。


ブツブツ言っているので、

ヤダな、何かコレは。

凄い怖いよ
誰か助けてと
春山信玄は想い


フランソワ嬢のことは
姉に任せて
最早、織田信長でも
何でもイイから
とっとと、討伐の旅に
出てもらうことにした。

彼女の怒りを何かで
発散させてあげないと
これは、もう自分が危ない。

「さあ、エイコっ!
 血沸き肉躍る大冒険が
 今、君を待っているよ。
 往け永遠の旅人よ…
 そうじゃった、そうじゃった
 このアイテムを
 受け取るが良い。
 勇者エイコよ真太極図と、
 第六天魔王を倒せる
 神々の呪文リストじゃ
 その中に記された言葉と
 名を呼べば、
 魔王を調伏するために
 神々が力を貸してくれるじゃろうて
 フォッフォッツフォ」

機転を利かせた春山は
姉のノリがいい事を利用して
謎の芝居で。
今、そこにある危機を
乗り切ることにした。

「何か凄そうだ!
 ほらほら、フランソワ。
 今すぐに行くよ」

ガシッ。

ズルズルズル…

「ちょ、お姉サン
何ですか、イタタ…
ハナシテくだサーイ!」

そうして、信長が
何処の城に居るのか
春山信玄が伝える前に
姉のエイコは、
嫌がるフランソワを
引き摺りながら、
林の向こう側に
走って行った。

これで、一安心。

小林君が、心配そうに
情報伝達の不備を指摘するので
安室君にダキニちゃんを
召喚してもらって
信長の居る場所まで
案内させることにした。

「これから張さんが連れてくる
 阿君は、きっと凄まじく強いよ。
 たぶん到着するのと同時か
 それ以前に力試しを
 仕掛けてくると想うの。
 何しろ、セイメイさんが
 仙人になったモノだから
 僕が全力を出しても
 全然、力が足りない。
 さらに安室君が補助をして
 何とか対抗するという
 カタチになるけど。
 その場合、ダキニちゃんが
 逃げ出す可能性があるから
 その方が良いでしょ?」

その言葉を聞いて納得すると
安室君は笑顔で肯いた。

肩と腰を叩いて
どっこいしょと言うと
張さんが杖を高く掲げて
雲を呼んだ。

「はいはい、解りました。
すぐに呼んで来るから、
まあ、一時間くらい待っておれ
わし、肩こっておるから
肩もみの件、
忘れないようにのぅ」


仙人張角が
疾風電雷、雲竜の如く
黒雲を斬って
超空の彼方へと
消えて行くのを
サングラス越しに
呆然と眺めて春山は言う。

「肩揉みのコトなんて
 忘れていたなぁ」

そうこうしていると、
特に用もないのに
小林君が、近づいてきた。

やっと泣き止むと。

眼を輝かせて
今度は、無駄に変なコトを
言い始める。

「今回、自分のできる
 役割は何でしょうか
 春山さん?」

春山信玄は
ハンサム小林君の質問に
的確に答えてあげた。

「ふふふ、ショウガナイなぁ。
 そうか、聞きたいのか。
 聞きたいならば教えましょう。
 小林君の今回の役目は
 時空航行装置の修理です。
 小林君の不注意のおかげで
 粉々に吹き飛んだ、
 精密機械を原料から作り直して
 元の時代にキッチリと僕達を
 帰すまでが遠足です。
 凄まじく地味ですが
 一番、責任重大な任務です。
 僕達が戦国時代で活躍する中、
 コツコツコツコツと。
 錬金術と工学技術をフル活用して
 頑張ってください」
 
小林君は
また涙目になって
しゃがみ込むと
静かに、ぼそっと呟いた。

「あぅ畜生、ダメだぁ。
 墓穴だ。
 訊かなければぁ
 よかったのにぃ
 自分めぇ」

春山信玄は手を叩くと
背中が痛くなるほど
笑ってしまった。

その後、
素早く頭を切り替えて。

渾沌式サイボーグ
禅ダムの安室君に
今後、必要になりそうな
情報の確認を
取ることにした。

「ああ、安室君。
 この時代だと、
 ヨモツヒラサカの
 現出座標地点は
 頭の記憶にある?」

「戦国時代は…
 解りやすい場所だと
 鉾山と名が付くならば
 何処の山でも
 後は、現時点では
 不安定ですね。
 でも、何故そんなコトを?」

帽子の傾きを直して
春山は答える。

「いや、運が良ければ
 デルちゃんに修理とか
 頼めないかなと想った
 だって、時間移動は
 許可されてないから
 安室君は渾沌氏の
 機能制限で
 その手のモノは
 修理できないでしょ?
 まあ、いいや。
 信長を倒してから
 ゆっくり考えよう」
 
 
安室君は、そうですねと
笑いながら座り込んで
寝てしまった。

小林君は泣いているし

とりあえず、今
春山信玄ができることは

大物仙人阿君に
助力を得るための
準備をするだけである。

そして、

何か妙に疲れたので
春山もチョット
ビニールシートに
寝転がって眠ることにした。

「小林君、来たら
 起こしてね」

横目で観ると
小林君は泣きながら
メモ帳にフリーハンドで
部分的な設計図を引いていた。
多少責任を感じているらしい。

「疲れているのだから、
 休みなさい。
 別に戦国時代で
 日本統一してしまえば
 不自由な暮らしでもないからさ。
 別に戻れなくても
 楽しくやっていく
 自身はあるから
 もう、イイじゃないか」

それを聞くと、
小林君は珍しく怒りだした。

無理も無い。

しかし、
鬼のような表情で
妙な感じの文句を
言い始めてしまったのが
宜しくなかった。

「この畜生、何言ってやがる。
 僕はゲームもネット生活も
 楽しめない世の中なんて
 イヤだから、修理しようと
 思ってました。
 言われなくてもね。
 莫迦山さん。
 自分からやってるから
 アンタは関係無いんですよ。
 話しかけて作業を
 妨げるのはやめて下さい!」

小林君は
私は一生懸命やってるだろう。
何か、やっていれば
偉いんだ参ったか下等生物め
というような妙な表情を
チラつかせている。

少し天狗になって
何故か人を見下して
無駄に騒ぐので

はいはい、
じゃあ、少しだけ
お灸を据えて
あげようかなと
想った春山は

笑顔で軽い御灸言を
喰らわせてみた。

「人間の努力なんて
 仙人の知ったことではない。
 自分で出化した感情の流れに
 人を巻き込むな、憑かれるぞ。
 やるなら黙って集中しなさい
 ダメ錬金術師」


他人を見下すような人間が
何をやろうがやるまいが
知ったことではないという
立場を採るのが仙人なのである。


小林君は
ペンとメモ帳を
地面にポトリと落とし

力なく
膝を付いて

前のめりに倒れ

そのまま、
ピクリとも
動かなくなった。

社長業務の疲れと
戦国時代に来てからの
緊張の連続などで

少しだけ
精神的なダメージを
受けていたせいなのだろう

しかし、何にしろ
暴言は、本人の
気の毒になるのだ。

いたいけで柔弱な
かわいい仙人を相手に
変な当て擦りを行うと
自縄自爆の罠に堕ちて
多少、落ち込むことになる。

でも、彼も決して
悪い人ではない、
そして面倒くさいので
特に責める必要も無い。

人を憎むのは
処理が面倒くさい上に
健康に良くない。


「さて。
彼は、貴重な
戦力外なので
巻き添えになって
くたばられると困る。
危険じゃない所に
小林君を移動させてから
これから本格的に
阿君対策を練るからね」

安室君は
静かに眼を開け
苦笑しながら
答えた。

「了解、了解」

------------------------------------
よろしかったら、ランキング応援してください☆♪↓
にほんブログ村 小説ブログ SF小説へ
テーマ: 自作連載小説 -  ジャンル: 小説・文学
by 護睡庵(春山信玄)  at 15:17 |  春山対信長 |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑
理想のお爺さん
FC2カウンター
最新の記事
カテゴリー
プロフィール

護睡庵(春山信玄)

Author:護睡庵(春山信玄)
魔法仙人協会
(定員1名)
最高無責任者
護睡庵不動駘蕩春山
別名 春山信玄☆

ちょっくら大変な世の中を
空想のファンタジックな
感覚でとらえてみて
普段のなんでもないような
生活を新鮮な気持ちで
どの程度楽しめるのかな
というブログです☆

現実にいる人物とは
一切、関係ありません。
フィクションブログです☆

職業 主夫 件 アルバイト
 
哲学者もどき


現在のテーマ
「時間の経過を楽しむ」

趣味 絵、音、読書、散歩、
食事、睡眠、お茶、その他

健康生活指針
楽観空想現実主義☆

月別アーカイブ
縦書き小説
興味があったらどうぞ☆
にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ にほんブログ村 小説ブログへ にほんブログ村 小説ブログ SF小説へ FC2ブログランキング
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

押すと何か喋るよ☆

リンク
ブログ内検索
御用の方はどうぞ☆

妖怪仙人のページ
abanataku.jpg
RSSフィード
おすすめ☆

By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ