春山対信長 つづき

黒雲が空に立ち込め
雨の無い落雷の
乾いた音が大地を蹴る中で

京都の外れの坂道を
武田信虎と上泉武蔵守が
和やかに話しながら歩いていた。

「そうか、あの馬鹿息子め。
 武士として遥か格上の
 信綱殿に仕官しろなどと
 ほざきおったか。
 自分の技量の無さを
 まざまざと露呈しおったわ」

「いや、信虎様。
 拙者がお断りしたのは
 そのような理由からでは
 御座りませぬぞ…」

「うむ、わかっとるわい。
 信玄が馬鹿なのじゃ、
 わしを追い出したのが
 運の尽きじゃ。
 そなたは悪くは無い」

「ははは、御意。
 信虎様。
 将軍義輝様…
 剣術、ご精進のほど
 如何で御座いましょうか?」
 
信虎は不適に笑い言った。

「凄まじい上達振りじゃよ。
 松永久秀と三好…、
 ああ、仲よし
 三人衆じゃな。
 長慶以外にも
 将軍を傀儡にしようと
 企んでおる
 猛者も居るじゃろうて」

「信虎様…もしや?
 うむ、落雷か」

その瞬間、腹に響く轟音と
雷光が地面を走り抜ける。

危険を察知した、
信虎と信綱は
素早く草叢に飛び込み
体を地面に伏せた。

「落雷ではないのか…
 何だアレは?
 観て参れ」

信虎の命令で
上泉信綱が時空航行装置に
近寄って来た。

入り口付近に忍び寄ると

突然、扉が開いて
中から、楽しそうに話しながら
フランソワと春山信玄が現れた。

「ねえ、早速
 バーベキューしようよ
 お腹減ったよ僕は」

「春山さんお腹減ったとか
 無駄にウルサイでス。
 だったらボンベのセットとか
 早くしてくださーイ」

「はーい、わかりましたぁ。
 ボンベボンベボン」


呆然としていた上泉信綱は、
その言葉を聞くと
我に返って叫んだ。

「貴様ら何奴だ!
 訳の判らぬ言葉を使いおって。
 異国人かぁ、名を名乗れっ」

男の言葉を聞いて
フランソワの眼が冷たく輝いた。

艶やかな目線を男に送ると
フッっと鼻で嘲笑い

彼女は地面に続く階段の上から
上泉信綱を見下して言った。


「シマグニコンジョー
 丸出しでース!
 アナタソレデモ武士と
 イエマスかー?」


「おぬし、秀郷の流れを汲む
 武人を愚弄する気かっ
 女といえども化物の類…」

信綱が土を足で捻りながら
フランソワに向かい
刀を構えて、にじり寄る。

その様子を観て
可愛いフランソワーズが危ない
助けたら惚れるかも知れないと
思いながら。

慌てふためいていた
春山は持っていた

着火用ライターと
ボンベを使って

上泉信綱に
火炎を放射した。


「ぬぅ、腕が…
 おのれ、火遁の術かっ」

信綱の腕が焼け爛れ、
眉や毛髪も焦げている。

周囲に異臭が漂う。

「秀郷の流れなら
 僕も汲んでますよぉ。
 ちょっと愚弄されたからって
 女性に刃を向けるなんて
 お仕置きですな」
(女性に暴力を振るう人ってだめよね)

そう言いながら
春山信玄は
次々と火炎を放射して
信虎の潜む茂みの方に
信綱をジワジワと追い詰めてゆく。

着物に火がつくと
流石の武人も焦ったのか
地面に転がり
砂で火を消してから


ボンベを持って、
にじり寄ってくる
アロハシャツとサングラスの
男に向かって
心の底から謝罪をした。


「いや、拙者の
 心得違いであった。
 急に現れたので
 化物かと思って、
 おりましたゆえ…
 かたじけないことで」

ブシュー…

土下座をしている所に
春山が止めの、ひと噴きを
浴びせようとした時に、
ガスが切れてしまった。

「ちぇ、ガス切れちゃったよ。
 謝るのだったら
 フランソワーズちゃんに謝って。
 春山さんは特に、
 何もされて無いよ。
 戦国時代に法律は無いから
 ちょっとした暴挙くらい
 やってもいいだろうなと
 思っただけで。
 タダのストレス解消だよ。
 見当違いも甚だしいよ」

上泉信綱は
不思議そうに
フランソワを見ながら言った

「御意、ふらんそわぁず殿
 誠に申し訳無いコトを…
 どうか、お許し願いたい」

バシッ

信綱は横っ面を叩かれて
一瞬、何が起きたのか
理解できなかった。

そうか…、うむ。
このいきなり現れた
化物の様な、からくりに
驚いたとはいえ、
刀を濫りに抜いた罰であろう。
いい教訓になった。
ここまで精進しても
拙者も、まだまだ
成っておらぬのか。
剣の道とは何処までも
深きことよ…


そう、信綱は納得した。


フランソワは青い顔で
怒って言った。

「アナタ!誰に謝ってるのデすか、
 ワタシはフランソワでース!
 ふらんそわぁずでは
 アリマセーンっ」

信綱は春山信玄の方を
涙目で振り返って見た。


しかし春山は
先ほど信綱を追いつめた
場所の草叢の奥を
眺めたまま動こうとしない。

「何かいるなら、出てきてよ。
 美味しいもの沢山あるよ。
 一緒にバーベキューするか、
 其処に隠れたまま
 火遁の術で
 バーベキューになるか
 選んでいいよ」

暫くすると、
信虎が不機嫌そうに
草叢からノッソリと現れた。

「貴様ら、一体何者じゃ?」

テーマ: 自作連載小説 -  ジャンル: 小説・文学
by 護睡庵(春山信玄)  at 16:33 |  春山対信長 |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑
理想のお爺さん
FC2カウンター
最新の記事
カテゴリー
プロフィール

護睡庵(春山信玄)

Author:護睡庵(春山信玄)
魔法仙人協会
(定員1名)
最高無責任者
護睡庵不動駘蕩春山
別名 春山信玄☆

ちょっくら大変な世の中を
空想のファンタジックな
感覚でとらえてみて
普段のなんでもないような
生活を新鮮な気持ちで
どの程度楽しめるのかな
というブログです☆

現実にいる人物とは
一切、関係ありません。
フィクションブログです☆

職業 主夫 件 アルバイト
 
哲学者もどき


現在のテーマ
「時間の経過を楽しむ」

趣味 絵、音、読書、散歩、
食事、睡眠、お茶、その他

健康生活指針
楽観空想現実主義☆

月別アーカイブ
縦書き小説
興味があったらどうぞ☆
にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ にほんブログ村 小説ブログへ にほんブログ村 小説ブログ SF小説へ FC2ブログランキング
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

押すと何か喋るよ☆

リンク
ブログ内検索
御用の方はどうぞ☆

妖怪仙人のページ
abanataku.jpg
RSSフィード
おすすめ☆

By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ