連載 「虹色のエリクシル」☆2月23日更新

-------------------------------------
最初から読むなら縦書きで読んだ方が楽です☆
護睡庵不動駘蕩春山☆
---------------------------------------
「虹色のエリクシル」 


一日  魔法の森


エイミーとシャヘルは、
南の門を少し出た道端で
立ち止まった。


「シャヘルさん、町の外に
 出るのですか…。
 あの幻術の森には
 邪悪な魔女が居ると
 いうことですよ」


前方に見える森を指して
シャヘルは言った。


「馬鹿め。
 魔女など存在しない。
 あの森に居るのは
 美しい女神だ」


エイミーの信じる神は
ひとつだけである。
彼女は女神と聞いて
異郷の神、すなわち悪魔が
あの森に居ると考えた。


「だから、悪魔じゃないって
 神だよ、女神!
 君は頭が少し固いようだね。
 悪魔なんて言葉は
 後から人間が作ったモノだろが
 グダグダいうなら地獄行きだよ」


自然とシャヘルの言葉が
強くなったので
エイミーは眼を
ぱちぱちさせて言った。


「そういうこと言うと
 あなたがそうなりますよーだ」


しばらく歩いて
森の入り口に差し掛かると
ツタの絡まった木々が
翡翠の粉と
見紛うばかりに輝く
霧の中に
鬱蒼と佇んでいた。


冬だというのに
この森の中には
春の気配がする。


しばらく男の後ろに
ついて歩いていると
葉の重なりが途切れ
湖が見えてきた。


「シャヘルさん
 先ほどは何故、
 私の考えていることが
 解ったのですか?」


シャヘルは何でも無い様な
顔をして答える。


「表情に出てたよ。
 何か言ったからといって
 睨むことないだろ。
 美人に睨まれたら
 僕は痛く傷つく」


そう言うと彼は
両腕を思いきり
伸ばしてから…
パーン と手のひらを叩き、
異国の言葉で呪文を唱える。
「ルナハザジュヤナルネ…」


鏡のような湖を
緑の葉から流れ出る
精霊の風が包み込む。


碧い空が映る水面は
不思議と古い青銅のように
静かになってしまった。


風が吹いているというのに


エイミーが風を追い
少し空を見上げた
一瞬のうちに


目の前に女性が立っていた。


硝子の様に滑らかな肌が
水の上に浮かんでいる。


「私はシャヘルと申します。
 貴女は魔術を司る女神、
 フレイア様でございますか?」


美しい女性は
羽根の衣を何処からとも無く
取り出し、肩にかけながら答えた。


「イツも通り、しらじらしいわね。
 私に用事があるのは、その子?
 名前は何と言うのかしら」


エイミーは慌てて自己紹介をする。

「わ、私は。
 私の名前はエイミーと言います!
 想像と違って綺麗な人でした
 よろしくおねがいしますっ」


シャヘルはニヤニヤ笑っている。


フレイアは優しい瞳で
エイミーを見ながら微笑む。


眼があった少女は
顔を赤くして
恥ずかしがってしまった。


しばらくエイミーを眺めた後、
シャヘルの方に
肩を竦めてみせてから
フレイアは、楽しそうに
あははと笑った。


瞬時に腕を交差させ
指で空中に円を二つ描くと
その軌跡は
二つの指輪になった。


「ひとつあげますよ。
 ほら、どちらも共に綺麗でしょう
 遠慮はいらないから
 好きなほうを指にしてみたら?」


紅い指輪が欲しい…


エイミーは気がつくと
紅い指輪を嵌めていた。


「よかった、やっぱり
 私の好きな子ね」


エイミーはシャヘルの方を
振り向いて言った。


「あ、私…。
 イケナイ、この指輪
 お返しします。
 あれ、取れません…」


シャヘルは弾ける様に
笑って、少女に説明をする。


「あははッ…、正解。
 青い宝石のついた
 指輪を選ばなくて。
 紅いのは幸福な生を呼び。
 青いのは不幸な死を呼ぶ。
 運命の指輪は人を
 心で選ぶから。
 偶然生きたいと思ってる時で
 良かったよね」


フレイアは微笑むと
シャヘルに囁いた。

「あなた、青い指輪は
 何かに使う気なのでしょう。
 扱いに注意して
 持って往きなさい」


シャヘルは
青い指輪を受け取り
小さな袋に入れると


フレイアの眼を見つめて呟いた。


「まあ、考えがあるから
 貰っていくよ。
 先を急ぐ短い旅だ
 もう往くぞ、エイミー」


エイミーが御礼を言って
走り去ると。


フレイアは言葉を風に乗せて
少女の耳に贈り届けた。


「貴女が気に入ったから
 力を貸すのです。
 私の魔力を手に入れるために
 命を落としたモノもいるのよ…
 我々が味方に付きますから
 その指輪を大切に」
テーマ: 自作小説(ファンタジー) -  ジャンル: 小説・文学
by 護睡庵(春山信玄)  at 19:12 |  連載 |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑
理想のお爺さん
FC2カウンター
最新の記事
カテゴリー
プロフィール

護睡庵(春山信玄)

Author:護睡庵(春山信玄)
魔法仙人協会
(定員1名)
最高無責任者
護睡庵不動駘蕩春山
別名 春山信玄☆

ちょっくら大変な世の中を
空想のファンタジックな
感覚でとらえてみて
普段のなんでもないような
生活を新鮮な気持ちで
どの程度楽しめるのかな
というブログです☆

現実にいる人物とは
一切、関係ありません。
フィクションブログです☆

職業 主夫 件 アルバイト
 
哲学者もどき


現在のテーマ
「時間の経過を楽しむ」

趣味 絵、音、読書、散歩、
食事、睡眠、お茶、その他

健康生活指針
楽観空想現実主義☆

月別アーカイブ
縦書き小説
興味があったらどうぞ☆
にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ にほんブログ村 小説ブログへ にほんブログ村 小説ブログ SF小説へ FC2ブログランキング
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

押すと何か喋るよ☆

リンク
ブログ内検索
御用の方はどうぞ☆

妖怪仙人のページ
abanataku.jpg
RSSフィード
おすすめ☆

By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ