春山対信長04

四話


小林君の説得に
成功した信玄は、
浮かれて踊りながら
道を歩いていた。


「やったね、これで
 うさ晴らしの
 大冒険が出来るぞ」
(戦国時代で大暴れできるわね)


すかさず、最近何も無くて
暇だった観自在菩薩のケイトが
春山さんの脳内に構築された
護睡庵のコタツで
ミカンをムシャムシャと
食べながら言った。


「しかし科学的にそんなコトが
 可能なのでしょうかね?」
(渾沌氏にでも訊いたら?
 あなた、御相伴役なのでしょう)


「えー、いやだ。
 ジャガンナート系の
 観想がケイトと不動尊の
 最強コンビでも
 何とか普通に会話が
 出来る程度じゃないか。
 出切れば直接ご本尊に
 関わりたくないね…。
 ご本尊は、仙人的に
 タダの道だし
 ワガママだから
 訊いたって無理だよ」
(まあ、それもそうね)


はたから見ると
完全に莫迦なのだが
自分で自分が莫迦だと
了解してから自分の思考回路を
好みの設定に構築し直して
遊んでいるので。


ハッキリ言って、タダの空想である。


独りで喋っているうちに
スナック「張さん登仙坊」の
看板が見えた。


張角が開店した
お洒落な飲み屋で
看板娘のフランソワという
カワイイゾンビマスターが
人気のお店である。


今日は定休日なので
裏口から入ると
仙人の張角が暖簾の下から
顔をのぞかせる。


「む、魔法仙人のお出ましじゃな。
 今日は、かわいいフランソワちゃん
 チョット出かけておるよ」


春山は、あからさまに
ショボクレタ顔で張角に言った。


「ああ、張さんも
 探偵局の皆で行く
 ピクニックに来る?」


張角は細い眼を輝かせると
大きな声で返事をする。


「もちろんじゃ!
 戦国の美女に
 会いに行くのじゃろう?」


「何でわかるの?」


老人は、
さらに鋭く細い
猫のような眼を
琥珀のように輝かせて
答えた。


「わしも仙人に
 なっておるからな」


春山信玄は侮り難し張角…と
心の中で思い、
感嘆の表情で
老人を見つめていた。


「さすが、仙人…。
 張さんも参加決定か、
 あとはフランソワーズだけだね。
 近所のスーパー辺りに
 買い物行ったのでしょ?」


そうじゃと張角が言うと
信玄は走って出て行ってしまった。


張角は春山を
完全に見送った後
独りで呟いた。


「ククク…、引っかかった。
 小林君から
 電話があっただけ
 だというのにのう」


 





テーマ: 自作連載小説 -  ジャンル: 小説・文学
by 護睡庵(春山信玄)  at 19:42 |  春山対信長 |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑
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