春山対信長  1



冬の寒さが足にくる
夜と昼との真ん中で
月が昇って星も往く
クライ緑の空の下。


とある集合住宅では、
コントローラーを持った
姉と弟がテレビの前で
火花を散らしていた。


今、二人が
楽しんでいるゲームは
戦国時代をモチーフにした有名な
シュミレーションゲームである。


弟の春山信玄は
縁のある武田信玄を
操作する武将として選び、
姉のエイコは性格が似ている以外
全く関係のない信長を使っていた。


春山信玄は土御門系と武田系統の
雑種のような気がするが
特に詳しく調べてみた訳ではないので
よくワカラナイ。

そうだったらイイのになとは想っている。

明治時代に堅苦しいのがイヤという理由で
今井さん系の元大名家を勝手に飛び出して
看護婦をしていた偉大なる女性の娘が
宇佐に土着していた阿部一族の子孫と
結婚して生まれたのが春山信玄の母である。

だから、正確に言うと
春山信玄は
武田信虎の子孫である。

信玄なのか信虎なのか
何だかワカラナイ。

昔は暴君と言われていたが
最近の学会では信虎の
評価が高くなっているらしいので
とても喜ばしい。

あとは、ドイツとか
色々混ざっているので
自分でも何だかワカラナイ。

エイコがコントローラーを
ミシミシ言わせながら叫び声をあげた。

「この第六天魔王様に
 勝てるものなど居らぬわ!」

信玄が、それを受けて
低い声で言葉をかえす。

「愚か者、
 たかが天魔如き
 この不動明王が
 また、踏み殺してくれようぞ…」


そうして、画面の上では
合戦が始まった。









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by 護睡庵(春山信玄)  at 23:51 |  春山対信長 |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑

春山対信長  1月24日

第二話


戦国時代のゲームで
春山信玄は
姉の操作する
信長に敗北した。

エイコは
鬼の首を獲ったように
叫び声をあげる

「あーははは、
 あはは
 ざぁぁぁぁこぉ…
 うじむしいぃ」


その言葉を聞いて
軽くショックを受けた
春山信玄は
目に涙を浮かべると

姉を睨みつけ
玄関のドアを開け
外に逃げ出した。


「エイコの莫迦ぁ
 畜生…
 どうやったら
 あの信長に
 勝てるのか」


その時、信玄の観自在菩薩
ケイトがアドバイスをしてくれた。


(実際に信長と戦ってみたら?)



昔、春山は地球上の魔法を
科学的に分解再構築し
適当に研究していたのであるが

背も低く顔も性格も問題あり
アルバイトなので金も無い

当然彼女も居ないので、

ちょっとした知り合いの方に
観想法を少し教わったのである。


何故か空想したら
金髪の美人が現れたのは
自分の好みの問題では無いと
本人は想っている。

何故ならば金髪でも
赤毛でも黒髪でも銀髪でも
全部好きなので
好みの問題では無いと
本人は想っている。


きっと人格形成期に見た
アニメとか小説とか
複数の情報が
複雑に組み合わさって
こうなってしまったのだろうと
推測されるが、それこそ
好都合なので
一切問題無いと
本人は想っている。


客観的にみて
春山信玄は莫迦である。


「それはイイ練習に
 なると想うけど
 戦国時代の人だよ」

(小林君の時空航行装置を使うのよ)


「ちょっと、ケイトちゃん
 天才なんじゃないの」

(褒めても何も出ないわよ)


春山はサンジェルマン小林君が
やっとの想いで再建した
宝石会社のビルの方に
とぼとぼと歩いて行った。

冬なので、足首とヒザが痛い
早く春になればイイと
毎年想っているのであるが
如何しようも無いものは
もう、如何しようも無い。

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by 護睡庵(春山信玄)  at 23:44 |  春山対信長 |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑

春山対信長 3話め

三話


サンジェルマン小林の
宝石会社に行くと

カワイイ受付の女性が
話しかけてくれたので

春山信玄はニヤケながら
取次ぎを依頼した。

前に小林君は
春山探偵局アルバイト雇用の
書類を受け取って
四百年間は探偵春山の
部下になるという
契約にサインをしているので

この会社では社長より
春山信玄の方が偉いような
気がするけれど、

それとこれとは
話が別であるらしい。


「代表取締…、
 何とか室か。
 おーい、小林君いますかー
 春山さんですよ」


いつまでたっても
開かないので

信玄が扉を勝手に
開けるために

ぐいぐい取っ手を
折りにかかると

後ろから
小林君の声がした。

「貴様、
 ドアが壊れるじゃないか!
 何をやっている…。
 あ、春山さん…」

あからさまに
嫌な顔をされたので
信玄は言った。

「何、その変なのが
 来ちゃったよって
 表情は…」

「それにしても
 随分偉そうじゃないか。
 自分がさぁ…
 ハンサムオブザ社長衛門だからって
 調子に乗るとアレですよ
 前回の依頼料くれって言うよ」

焦った小林君は
渋い顔をしてから
空気を深く吸って

心の動揺を誤魔化し、
適当な返事をする。

「あ、ビル再建で
 会社の利益と出費が
 今トントン位なので
 もう少し待ってください
 あと三年くらい」

それを聞いて
信玄は笑顔になって呟いた

「まあ、何時でもいいよ。
 十日で10割の利子で
 ローンかな」


ボシャッ


小林君は持っていた
コップを下に落とし
薄闇色のコーヒーが
カーペットにこぼれる


「滅茶苦茶
 言わないで下さい…」


涙目である。

凄く面白い。


楽しい冗談も終わったので
春山は本題に
入ることにした。

「冗談だよ、あと楽しい
 相談もあるの
 さっきの利子は
 要らないから
 気晴らしに、遠足でも
 行かないですか?
 探偵局の皆で」


「あ、まだ…
 やっていたのですか」


信玄はその言葉に
軽い衝撃を受け

弁慶の立ち往生くらい
傷ついた。

悔し紛れに春山は

いやみな
ハンサム小林君は
凄いモテそうで
良かったですねと

少し想い。

全然文句にならなくて
悔しいので

反撃の言葉を
浴びせかけた。


「約款観てないのですか?
 契約上、
 四百年は僕の所の
 従業員だよ、小林君は
 僕は君より現実には
 モテませんが
 書類の上では
 君より偉いんだよ
 書類の上では
 モテるのですよ! 
 チクショウ、解ったか」

何故か無性に空しく響く
信玄の言葉は
その時、完全に無視されていた。

一方、企業の長は
自分の置かれた
状況を冷静に判断している
ようだった。

しばらくして
小林君は
青ざめた頬に
両手を当てて呟いた。

「しまった!
 そんな、
 何で見落とした
 焦っていたからか…
 痛恨のミスだ」


「別にぃ…
 何をやれとか
 探偵業務とか無いし、
 タダ書類上は
 僕の部下だって
 コトだよ
 社長なのに」


小林君は渋々と、
遠足に参加する事を
承諾した。

ついでに
時空航行装置の操作を
依頼すると
小林君は驚いて
思わず叫んだ。

「春山さん、遠足って?
 何処行く気ですか!」


春山信玄は適当に笑って言った


「遠足といったら…
 普通は戦国時代」



 


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by 護睡庵(春山信玄)  at 17:19 |  春山対信長 |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑
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